≪刑事≫≪刑事≫♪アモーレ.アモーレ.ア.モレミオ♪ーー ーー死ぬほど愛してーー イタリア映画≪刑事≫ーカルロ.ルステイケリ作曲ー この主題曲は爆発的にヒットした. ≪鉄道員≫の翌年に同じピエトロ.ジェルミ監督、主演の 作品である。 イタリアの戦後の家族のあり様は日本のそれと非常に 類似していて親しみを感じるので、観ていて 非常にわかりやすい。 父親や母親の子供に対する躾やものの考え方が 非常に似ていたように思う。 この≪刑事≫という映画は ありふれた空き巣事件に始まって、 ピエトロ.ジェルミ扮する刑事の捜査の過程で 浮かび上がってくる普通のひとたちの ありふれた日常生活のいろいろな出来事を温かく 描き上げた作品である。 刑事という題名からして捜査の内容そのものよりも、 この刑事の性格、仕事振りとそれに関わる人たちとの 接点が戦後のイタリアという社会状況を 色濃く映し出している。 イングラヴアロという刑事は、若者に負けない行動力と、 粘り強さ、そしてなにかしら暗い翳のようなものがある。 刑事とはこんなに格好良いといった作られた イメージはみじんもなく、ただ真面目に執拗に真実を 、ときには怒号し、ときには手を上げたりもする 市民にとっては怖い刑事である。 だからといってむやみにそうなるのではなく、 ひたむきに生きて、人間として深い味わいのある人物である。 邦画の飢餓海峡に登場する、伴ジュン扮する弓坂刑事のような 執拗さはあっても温情的なタイプでもなく、 張り込みに登場する柚木刑事や下岡刑事のように 情にほだされるタイプ゚でもない。 仕事だけに無心に突っ走るその姿と 主題歌のメロデイーの哀しさが上手く融合して情感溢れる 作品となっている。 女優、クラウデイア.カルデイナーレも 日本で言えば、吉村実子のような庶民的で必死に生きる女性を 演じられるタイプの女優である。 このテーマ曲をご存知ない方は一度聴いてみて欲しいな! ストーリー ローマのあるアパートで強盗事件が起こる. 刑事たちはすぐさま現場に。 被害者をはじめ、住人はみんな非協力的で、 女中のアンザローニはここととなりと掛け持ちで 女中をしており、 事件のあったときにはとなりで働いていた. 尋問をしている間に、彼女の婚約者が、野次馬の中から こそこそ逃げ出した。 しかしこの婚約者にもアリバイはあった. 1週間後、今度は隣のバンドッチ夫人が殺害された。 イングラヴアロ刑事は被害者の良人と、 死体発見者の医師を怪しいと睨み、厳しく尋問する。 しかし、そんな時に強盗事件の犯人が連行されてくる。 イングラヴアロ刑事はこの犯人、アンザーロの婚約者ーーを 締め上げる。 するとこの男が殺人事件の犯人であることも判明する。 手錠をかけられ連行され婚約者を、両手を振り上げて絶叫しながら 追いかけていくラストシーン. イングラヴアロ刑事はそんな哀れな彼女に見向きもするでもなく、 ただ犯人を連行するだけであった。 ミステリー映画というより、サスペンスというより、 刑事の性格劇と申し上げて良いと思う。 刑事の捜査活動の中に市井のありふれたイタリアの 庶民の姿をありのままに哀しさ、哀れさ、切なさ、 愛に苦しむ女などの人生像を味わい深く描いた作品である。 捜査陣が被害者が映っているかもしれないと 八ミリの映写機を廻して、なにか証拠は映っていないかと 繰り返し見る.... これは黒澤明の天国と地獄に出てきましたよね。 この作品からヒントを、影響を受けたのではないでしょうか?? ドラマの中に出てくるパスタレストランで、 ギター片手に唄う歌ーーーー懐かしい! ♪アリベデルチ.ローマ♪~ よく口ずさんだものです。 カルデイナーレはキレイな役より、 こういった庶民ン的な女性をやらせれば天下一品. 笑い顔はありません。でもいじらしい!可愛い! 制作 伊 1959年度 監督 ピエトロ.ジェルミ 出演 々 /クラウデイア.カルデイナーレ/ |